自分だけの場所:パンケ沼から眺める夕日(北海道幌延町)

日々の忙しさとか人間関係の煩わしさに疲れたら、気分転換にどこかに出かけます。
そんな時私が向かうのは、一人きりで心穏やかになれそうな静かな場所。
主観入りまくりのセレクトだけど、そんな自分だけの場所を紹介します。

パンケ沼とは?

「これまで見た夕日で1番の場所は?」と訊かれたら、1番を決めるのは難しいけれど、ここは是非ともお勧めしたい。

北海道の最北端、サロベツ原野に位置するほぼ円形の沼、それがパンケ沼です。
沼といっても周囲8kmにも及ぶ大きなもの。

サロベツ原野の観光の中心地はサロベツ湿原センターや幌延ビジターセンターで、パンケ沼は幌延ビジターセンターからの遊歩道もあるものの、やはりメインルートから外れている場所で、訪れる観光客もまばらです。

車でアクセスする場合、舗装路の行き止まりに駐車場とトイレ、小さな東屋があります。

(日中訪れたことがないのでgoogle mapの画像)

さらに先は砂利道の遊歩道なので徒歩になりますが、沼まではすぐそこです。
幌延ビジターセンターの方はそれなりに観光客はいますが、ここは訪れる人はかなり少ないのではないでしょうか。

たしかに、沼とちょっとした遊歩道があるだけですし。
でもここから眺める日没は実に良いのです。

パンケ沼から眺める夕日

この日私がパンケ沼に到着したのは日没直前。
すでにここまで沈んでいました。

太陽の沈むスピードは思いの外早くて、その姿をスルスルと隠していきます。
それに従って、背後の利尻富士の輪郭がよりはっきりとしてきました。

日没の一部始終をお立ち台に立って、独り占めできる至福のひととき。
これ以上の素晴らしい過ごし方があるでしょうか。

ちなみに、現在お立ち台は立ち入り禁止になっているそうです。

野鳥観察小屋もありますが、こちらは頑張って欲しいですね。

やがて完全に陽は落ち、月に主役交代です。

もっと暗くなれば、ここは満天の星空を眺めることができる、天然のプラネタリウムに様変わりします。

この間およそ30分。
昼から夜への変化を味わう濃厚な時間でした。
眼前の利尻富士の存在感もあって、何度訪れても良い場所です。

静かな場所?

広大なサロベツ原野の観光の中心は、パンケ沼から3km南に位置する幌延ビジターセンター。
資料館や高さ25mの展望等などもあり、そこに観光客は集まります。
あるいはやや北寄りに位置するサロベツ湿原センターも多くの観光客を集めます。

また、周囲には他にも見どころがたくさんで、パンケ沼まで足を運ぶ人は非常に少ないです。
どの時間帯でもひとりぼっちになる可能性が高いでしょう。

また、駐車場は観光バスに対応していないので、車かバイク、自転車・徒歩限定になるため、団体客の喧騒とも無縁です。

そもそも宗谷地方は札幌からでも5時間程度かかる距離。
エリア全体の観光客も道央や道南に比べて少ないですしね。

幹線道路からも離れているため、本物の静寂を味わえることでしょう。

アクセス

車でのアクセスなら、国道40号線から2kmほど海岸寄りです:

ちょっと寄り道をする感覚で立ち寄れると思います。

なお、この種の場所としては珍しく、鉄道でのアクセスも可能です。
最寄りは宗谷線の下沼駅。そこから徒歩30分です。

ちょっと不安になる寂しさの駅ですが、駅舎内にはパンケ沼への案内図も掲示されています。

(この写真は5年ほど前なので、ボロボロの駅舎に驚くかもしれませんが、今はお色直しされているようです)

丁寧な地図とともに、所要時間やトイレの有無も記されていて、とても親切な観光案内です。

駅は小さいけれど、手作り感のある雰囲気で、居心地の良いところでした。

ただ、列車の本数は上下合わせて7本で、到着/発車時刻は調べておくことが必要です。
2019年9月現在の時刻表は以下のとおりです。

■下り(稚内方面)
7:07、11:04、18:49(すべて稚内行)
■上り(旭川方面)
6:13(名寄行)
11:26(名寄行)
19:07(名寄行)
21:14(幌延行)

日の出前、日没後の徒歩移動は危険ですので(ほんとに真っ暗なので)、実質的に利用できる列車は限られますね(とくに春と秋。冬は論外)。

また、夕日を見る場合、復路は必ず夜になるのでお勧めできません。
徒歩なら日中限定でしょう。

とはいえ、味わい深い下沼駅、そしてひたすらまっすぐな道を30分歩いて到着する達成感など、日中でもいいので、一度は列車で訪れてみたいものだと思っています。