自分だけの場所:ベンセ湿原(青森県つがる市)

日々の忙しさとか人間関係の煩わしさに疲れたら、気分転換にどこかに出かけます。
そんな時私が向かうのは、一人きりで心穏やかになれそうな静かな場所。
主観入りまくりのセレクトだけど、そんな自分だけの場所を紹介します。

ベンセ湿原とは

青森県にある2つの半島、東まさかり型の下北半島、西がジャガイモぽい形の津軽半島。

津軽半島の西側は大湿原地帯で、大小無数の沼が点在しています。
半島西部を南北に貫く屏風山広域農道(通称:メロンロード)沿いにはとくに多くの沼が点在しており、ちょっとした北海道ぽいワイルドな風景が広がります。

メロンロード(地図の青い線:十三湖〜鰺ヶ沢町国道101号線)

そんな湿原地帯でも割と有名なのがベンセ湿原です。
ここはニッコウキスゲの群生で有名で、6月には多くの観光客が訪れます。

「ベンセ」の名の由来はアイヌ語の「上にある」という説があります。
北海道がすぐ向かいにありますから、アイヌ文化が地名に与えた影響もあるかもしれませんね。
そもそも東北、とくに北東北はアイヌ語由来の地名がそれなりにありますし。

ベンセ湿原付近を北西から俯瞰した写真です(青い線は到達ルート)。

左上にメロンロードが斜めに走っていて、そこからちょっと入るとベンセ湿原の駐車場です。
案内図がありますが、茶色の太めの線が車道、細い線が湿原を周回する木道を示しています。

木道のコース上にある展望台に行ってみましょう。

展望台というか、バードウォッチングのお立ち台みたいな感じです。
でも上からの眺めはなかなか開けています。

もっとも地上目線で眺めた方が広がりがあって私は好きですが。

初夏の花の季節だと本当に素晴らしいのですが、そういう時期はそこらじゅうに散策をしている人がいて、この記事の趣旨に反します。
花の季節以外はいつ訪れても人里離れた湿地の風景で、癒されます。

さて、ここは海岸にも近いので、歩いて到達することもできます。
いちおう車道なのですが、かなり悪路で、1kmちょっとあるので徒歩が現実的です。

実際、こんな水没した箇所もありますし。

本当にこっちでいいの?誰もいないけど。。。
と思うかもしれないけれど、道標もあります。

上の標識の左下、左、何でも海岸に至りますが、私は左のほうが好み。
どちらの行き先にも「埋没林」とありますが、この辺りは最終氷期埋没林で有名なのです。

埋没林とはざっくり説明すると、水中や地中に埋まってしまった森林のこと。
ここの埋没林は約3万年まえに埋まってしまい、そして真空パックのような状態で現在に至っているそう。
海岸に出れば実物を見ることができます。

林の中を進むこと数分で、出口の気配。

人はいないんだけど、ゴミはあるんですよね。
釣り人のなのか、強風で海岸の漂着物が舞い上がったのか。。。

そして、海岸に到着です。
ここは日本海。波打ち際まで降りることもできます。

ベンセ湿原も静かだったけど、ここまで来る人はまずいないでしょう。
やや漂着物の多い風情に欠ける所もあるけれど、気兼ねなく独り占めできる場所なので、ここまで足を延ばすのもお勧めです。

静かな場所?

6月前後の花の咲き乱れる季節を除けば、静かな湿原です。
風そよぐ爽やかな中、湿原の散策が楽しめます。

海岸はさらに人気がなく(おそらく花の季節でもそこまで来る人はいないはず)、ぼっち好きな人にはたまらないと思います。

ニッコウキスゲやノハナショウブの美しさは言うまでもないですし、私も実際に見て感動しました。
でも、それ以外の季節があまり見向きもされずちょっと不憫です。
個人的には自分だけの穴場なので不憫なままでも良いのですが。

アクセス

車でのアクセスなら、青森市や弘前市から1時間ほどなので意外と近いです。津軽道がイオンモールつがる柏のすぐそばまで繋がっていますからね:

公共交通機関でのアクセスはここも難しいです。
ただ、ニッコウキスゲの季節にはつがる市が主宰するバスツアーがあるようです。

ちなみに、徒歩はおすすめできません。
このメロンロードは広域農道とはいえ、ショートカットルートとしてそこそこ交通量が多く、大型車もかなり通ります。
そして直線が多いのでみんなけっこう飛ばします。
歩道もないので危険ですしかなりストレスを感じるでしょう。

でもそれだからこそ、観光開発が抑えられていて、静かな環境が保たれているのです。