すむたび in 宮古島:伊良部大橋を自転車で渡ってみましょう

宮古島と伊良部島を繋ぐ伊良部大橋。
島の紹介で必ず登場する有名な橋ですね。

ポタリングで宮古島をうろうろした時にこの橋を渡ってみたので、その感想と気づいたことを記してみます。

伊良部大橋とは

全長3540m、無料で通行可能な橋としては国内最長で、2015年に開通しました。
伊良部島側の海上部分770mを含めると、海上部分は4310mとなり、実に4km以上の区間海の上を走ることになり、実に爽快なドライブコースです。

有料なら東京湾アクアラインや明石海峡大橋などがあり、それぞれ4km程度の海上ドライブができますが、伊良部大橋でしか体験できないのが美しすぎる宮古ブルーの海。
天気が良ければまさに息を飲む美しさが視界360°広がります。

観光名所であると同時に、伊良部大橋は伊良部島と宮古島を結ぶ生活道路でもあります。
というわけで無料で通行できるようになっているのでしょう。

自転車で渡る際の注意点

高低差

伊良部島の牧山展望台から伊良部大橋の全貌を見ることができます。

すると伊良部大橋の特徴がよく分かります。

写真の奥が宮古島、手前が伊良部島です。
長い橋の2カ所が山のように盛り上がってますね。

宮古島側の大きな山

そして伊良部島側の小さな山

大きな山(長山水路の上)は勾配が5%、小さい山(佐良浜航路の上)は3%あります。
じつは大きな山の左側(宮古島側)にも久松水路を跨ぐ山があるのですが、勾配1.25%ですので無視できる程度の坂道です。

さて、この2つの山が曲者で、大きい山の方はママチャリなど変速機能なしの自転車では結構しんどいと思います。

私はdahonという折り畳み自転車専門メーカーの自転車だったので、無理なく通過できました。
ロードバイクやクロスバイクならもちろん余裕でしょう。
もしレンタサイクルを借りるなら、クロスバイクや電動アシスト機能のある自転車が良いでしょう。

歩道を走行すること

下の写真の通り、左右にクリーム色の歩道があり、その幅は1.25m。
自転車で走行する際は左側通行しましょう(橋の手前に小さく案内がありますが)。

自転車的には狭くもなく広くもなくといったところです。

なお、以前は白線上に小さな反射板が等間隔で設置されていたようですが、今は撤去されています。
多分車の侵入には効果はないし、自転車が走行する際にタイヤを取られて危険だったのでしょう。

個人的に、このフラットな白線は助かります。
滅多にないと思うけれど、他の自転車や歩行者の追い越しの際、段差を気にしなくて良いですので。

↓反射板の撤去跡(白線上に四角い黒ずみ)

個人的に、独立した歩道にしなくて正解だったと思います。
段差のある歩道は逃げ場がなくて不便ですので。
独立した歩道なら、片側に4m幅は欲しいですが、予算が厳しいでしょうね。

歩道は亀裂やでこぼこはありませんが、ところどころ砂が溜まっていたり、小石が落ちていたりするので、スピードは出しすぎず、前方確認はしっかりと。

また等間隔で排水設備が設置されているので、その窪みにタイヤを取られないように歩道の真ん中を走りましょう。

高所恐怖症だけど大丈夫?

こればかりは個人の感覚なので説明は難しいですが、私自身は恐怖症ではないけれど、高い場所はあまり好きではありません。
それでも高くて怖いという感覚はありませんでした。

橋の海面からの高さは、低いところで10m程度、高いところで27m。
視界全てが海面ということもあり、遠近感が狂うのか高さを感じにくいのかもしれません。

恐怖感が緩和される要因として手すりの高さがあるかもしれません。
宮古島にある他の2つの大橋(来間大橋、池間大橋)と異なり、手すりが二段がまえになっていて、自転車に乗った時、手すりの高さは首の位置の高さでした(私の身長が170cm)。

上の写真の通り、本来の太い手すりの外側に、細い手すりが追加されているのですが、視界が遮られず恐怖感も和らぐという、個人的には絶妙な高さでした。
身長が低い人にとってはより安心かもしれません。

転落したらどうなる?

頂上部からだと海面まで27m。
この高さで転落すると怪我では済まないことは素人でも想像できると思います。
以前、誤って転落した男性が死亡したのがニュースになりましたし。

しかし橋の大部分を占める高さ10mからの転落でも、飛び込みの姿勢を保てなければ大怪我につながるでしょう。
視覚的には低く見えるのですが、低い場所から転落することも大変危険だと思います。

たとえ無事着水したとしても、着衣のまま泳ぐ経験がないと命に関わるかもしれません。
私も着衣での水泳を教わったことはあるのですが、1回や2回の経験では習得が難しいです。

とにかく転落したら命はないものと考え、安全運転で渡りましょう。

渡るなら晴れていて風の弱い日

一般に風は陸上より海上の方が強く吹いています。
天気予報での風速は陸上の観測所のものなので、海上ではそれよりも強く吹いていると考えないといけません。

具体的にどの程度割増なのかは難しいですが、一例として宮古島が北の風7mの日における、隣の島の灯台での風速を見てみます。

10mですので、およそ1.5倍の風速なんですね。
海上の風速もこの数値が参考になると思います。

冬の宮古島は「曇り+強い北風」のコンボであることが多く、この条件で伊良部大橋を渡ると横風を受け続けて渡ることになります。
なかなかスピードが出せないのはもちろん、横風で車道にはみ出すかもしれず、そんな緊張感で4km走り続けるのはかなり辛いと思います。

いっぽう、風さえなければペダルも軽く、さらに晴れていれば海の色も最高に美しく、4kmの距離もあっという間に感じます。
冬に「晴れ+無風」という条件は珍しいので運次第ですが、そんな条件が揃えば迷わずgoです。

実際に渡ってみた

では実際に橋を渡ってみます。
当日の天候は晴れ、天気予報では風速は南寄りの風が2m程度。
日中の気温は20°Cというベストコンディションです。

宮古島側の取り付け部ではるか前方に続く道のりを眺めて一呼吸。

進行方向に向かって、右に緩い弧を描いているので橋の全貌が目に入り、あんな遠くまで走るのかと感じます。
頭のなかでは4kmはたいした距離ではなく、せいぜい10〜15分で渡りきると分かるのですが、遠くまで見通せるとちょっとした絶望感を持ってしまいます。

北海道で地平線を見ながら自転車に乗った方がいれば、その気持ちは分かるのではないでしょうか。

そうはいってもペダルを漕がなければ始まらないので意を決して進入開始。
最初の半分、大きな山の手前までは快調に進みます。
海上は無風で、ぽかぽか小春日和で実に心地よい。

さっそく両側には宮古ブルーの海が視界一杯に広がります。
これは言葉にならないというか、ぜひ経験して欲しい素晴らしさです。

あと、海が磯臭くないのが個人的にポイント高いです。
普通海は川からいろいろなものが流れてきて、それが磯臭さにつながるのですが、川のない宮古島(とその周辺の島)ではそれがないんですよね。

最初の関門である坂道も難なくクリアです。
橋の頂上の前後に若干広くなった箇所が設置されており、手前の広くなったところで1分ほど小休止。

ここでも風はそよそよと吹くぐらいで、危険は感じません。
遠くに見えるのは左から、宮古島、来間大橋、来間島。

車道側には軽トラを先頭にして行列ができていたので、それをやり過ごして再出発。
なんせ30kmのノロノロ運転なので、自転車だと追いついてしまいます。
車と並んで走るのは苦手ですので。

下りも急坂と言うほどではないので、ほどほどのスピードで降りきり、その勢いを維持して小さい方の山を超えます。
対岸がどんどん近づいているのを感じます。

その後も快調に走って伊良部島に到達。おつかれさまでした。
正面では、いらぶ大橋海の駅を建設中(2020年6月に開業)ですね。

この後伊良部島&下地島を周遊して、帰りも橋を渡ります。

時刻は15時ごろ。
相変わらず晴れていますが、風が少し出てきました。
それでもそれほど支障はなく、順調にペダルを回します。

2つの山を超えて後は平坦部分だけだというところで、前方に自転車が止まっているのを発見。
おじいちゃんが欄干から下を覗き込んでいます。
釣竿とか持ってないので眺めているだけだと思いますが。

車が途切れるのを待って、そろーりと追い越し。
それにしてもママチャリで橋を渡るとは元気なものです。
農業とか漁業関係者ならそれぐらいの体力はあるのだろうか。

あと数百メートルというところまで来ると、今度は歩行者を発見。
観光客のようで、こちらには気付いていない様子。
こんな感じに、橋の両端はちょっとだけ橋を歩いてみようという観光客がいるので気をつけないといけません。

そんなこんなで無事宮古島に帰還です。
控えめに言って最高のポタリングになりました。

今回私は自分の自転車を持ち込みましたが、宮古島や下地島空港にはレンタサイクルもあるので、4kmの海上サイクリングを体験してはいかがでしょうか。