川のない宮古島=美しい海
宮古島の海の美しさを説明する際、島に河川がないことを第一の理由に挙げることが多いです。
というのも、川がないので、川から流れ込む土砂が無い。
したがって海水が濁らず透明度の高い美しい海となる、という論法です。
実際に島の周囲の海はどこを切り取っても透明度が高い水色で、たとえ曇天の日でもその美しさの片鱗を見せてくれます。
もしそれが晴天で太陽の光をいっぱい浴びるとこんな色になります。
光量や時間によって海の色は様々に変わるそうなので、その多様な美しさも宮古島の海が称賛される所以でもあります。
宮古島唯一の河川?
それで、河川の話に戻ります。
実は宮古島には湧水があり、そのうちの一つはどう見ても海へと至り、それは川と呼べるのでは?という場所があります。
地図上の右、丸で囲った場所から、矢印の箇所まで川らしき水色の線が引かれています。
そして、赤丸の場所には「崎田川(さいたかわ)湧水」の文字があります。
この場所が湧水の場所であることは別記事にしています。
そして、「崎田川」とあるので、これは川ではなかろうか?
と疑問に感じて、少し調べてみました。
まず、公的機関の見解を見てみます。
宮古島市のサイトでは市の概要として以下の記載がありました:
もう一例として、沖縄総合事務局宮古伊良部農業水利事業所のサイトでは水利状況について、以下のように述べられています:
宮古島市の見解としては「小さな」河川については否定していませんので、含みを持たせた表現ぽいです。
いっぽう、水利事業所は「ない」と断言しています。
この他、公的あるいはWikipediaなどの可能な限り正確性を目指しているサイトなどを調べて、「宮古島の河川の名称」を調べたものの、それらしき情報はありません。
どうやら、この川(仮に崎田川とします)は公式見解では存在しないのかもしれません。
河川とは?
ここで河川の定義についてとても簡単に調べてみました。
河川は以下の4つに分類されます:
- 一級河川
- 二級河川
- 準用河川
- 普通河川
大雑把にいえば、上の方は公共の重要度が大きな河川で、国や都道府県が管理します。
下の方は重要度が低い小河川になります。
そして、一番下の「普通河川」は上3つと異なり、「河川法の適用を受けない河川」というカテゴリーに属します。
小さな川はもちろん、水路も含まれます(下水道は含まれない)。
(仮称)崎田川は川なのか?
もし崎田川が河川指定を受けるとなれば普通河川でしょうが、おそらく指定されていないと推測します。
(市役所に訊けば分かるかもしれませんが、個人の趣味で余計な仕事を増やしては申し訳ないので訊くわけにはいきません)
あるいは指定されていたとしても、名無しの川かもしれません。
国土交通省の資料によれば、2018年4月30日現在、一級河川は14,066、二級河川は7,081、準用河川は14,327が指定されています。
これに加えて膨大な数の普通河川に名前をつけたり、あるいはその辺の水路を普通河川に指定することは大変な作業になると思います。
というわけで、(仮称)崎田川こと湧水〜与那覇湾までの川(あるいは水路)は、実態は河川だが、役所は河川に指定していない、あるいは普通河川だが名無しの状態である、のいずれかだと考えています。
まあ個人の想像なので、これ以外が真実かもしれないのですが。
ふらっと立ち寄った旅人の戯言と思ってください。
調べていて感じたこと
ところで、google mapには「崎田川湧水」などという表記で、いかにも崎田川の源流のような印象が与えられているのですが、これを疑わしく思ってます。
「カー」または「ガー」は沖縄の言葉で井戸や湧水のことを指します。
まさかgoogle mapはそれを「川」と判断したのかな?
突拍子もないのですが、実に気になります。
ゼンリン撤退以降のgoogle mapは劣化中なので、情報の正確性は低下しています。
宮古島にもさとうきび畑のど真ん中にリゾートホテルがあることになってますし(実際そんなものはない)。
営利企業ですから、膨大な修正依頼にいちいち対応してられないでしょう。
今回の調べ物で、公的機関はデジタルアンフレンドリーでスピードに劣るけれど、情報の正確性は信頼できるものだと改めて感じました。
真実に近づきたければ正しいアプローチの探索に手間暇かける。
googleを信用しすぎると、途中までしかたどり着けない、あるいは遠ざかるかもしれないので要注意だとつくづく感じました。