フェリーで沖縄入りしてみようか

那覇にすむたびに行ってきましたが、往路は飛行機ではなくフェリーで向かいました。
ただ、本州から沖縄への航路はすでに廃止されており、鹿児島からの航路になります。
丸1日かかる航路ですが、のんびり過ごすには良い選択でした。

沖縄航路の現状

今回は鹿児島〜那覇のルートですが、かつては東京・名古屋・大阪・神戸からの航路もあったようです。
(他にもあるかもですが)
沖縄へのアクセスは航空機がスタンダードになっていくなか、料金面で若干優位を保って航路を維持できていました。

ただ、LCCが台頭したことでて料金面でのアドバンテージがなくなり、それが致命傷となって旅客輸送は次々に取りやめとなりました。
現在残っている鹿児島〜那覇航路も儲かる航路ではないと思うけれど、途中の島々へのアクセスが重要な役割ですので、廃止されずに残っているのかもしれません。

鹿児島〜那覇航路の概要

1日1往復がマリックスラインとマルエーフェリーの2社によって共同運行されています。
それぞれが交互に運行していて、経由地や時刻は全く同じです。
料金も2社共通となっており、往復割引も行き帰りで別々の会社を使っても適用されます。

所要時間は25時間。
鹿児島→那覇方向は夕方出発、那覇→鹿児島方向は朝出発です
今回乗船するマリックスラインのルートと時刻は以下のとおり

上の地図だと屋久島の西海上を進んでいますが、私が乗船した時は屋久島と種子島の間を通っていました。

鹿児島新港へのアクセス

鹿児島はおおくの航路の発着地で、港も複数あります。
沖縄行きの航路が発着するのは鹿児島新港です。
公共交通機関を利用する場合、鹿児島中央駅からのポートライナーというシャトルバスが便利です。

鹿児島中央駅を16:30に出発し、途中天文館、鹿児島駅などを経由して、鹿児島新港到着は16:50。(2019年1月現在)
ちょっと遠回りですが、歩くには遠いですし、160円しかかからないのでこのバスが一番良いと思います。

ちなみに、鹿児島中央駅のバス停は「鹿児島中央駅・東⑤」なのですが、そのバス停にポートライナーの時刻表を見つけることができなかったです。
私の探し方が悪かったのかもしれないけれど。
いかにもこれからフェリーに乗ります的な大荷物の人が何人かいたから心配はなかったけど。

鹿児島新港のターミナルは綺麗ですが売店などの設備は最小限ですので、買い物とかはあらかじめ済ませていた方がいいですね。
私は鹿児島は初めてだったんですけど、ものすごく都会でなんでも揃いますね。
ただちょっと人酔いしました。

出港シーン

鹿児島新港の出港は18:00。
1月なのですでに日は落ちて、かすかに残り陽が届く程度。
でもせっかくなので出港シーンを眺めにデッキへ出てみました。

鹿児島とはいえ、やはり1月の日暮れ時は寒い。
でもどっしり構える桜島を目にして、「旅してるねぃ」と実感。
寒さもちょっと忘れます。

明日の早朝には奄美大島に到着します。
そして多くの島々をアイランド・ホッピングしながら沖縄へ。
きっとだんだんと暖かくなるのかなあ、なんて期待していました。

海の色が変わり、少しずつ暖かくなる

冬に飛行機で成田から那覇に飛ぶと、那覇に到着した途端ムワッと感じるのですよね。
気温差が結構ありますから。
ではフェリーでゆっくり南下するとどう感じるのだろうか?
これは個人的に疑問で、ずっと確かめたかったことでした。

奄美大島入港は5:00(出港は5:50)。
まだ真っ暗だろうし、眠かったのでベッドで夢うつつでした。

出港後しばらくしてレストランで日の出を眺めます。
向こうに見えるのは奄美大島。

早朝だからか、海の色は鈍色。
まだちょっと寒々しいですね。
でも所々にエンジェルラダーが差し込んでいて、いい1日になりそう。

次の寄港地は徳之島の亀徳港(入港9:10/出港9:40)。

ここで「あ、あったかいなあ」と実感します。
すこしジメジメしていて空気に冬の鋭さがありません。
秋物のコートがなければ少し寒いかなあって程度です。

海の色は曇ってるせいか、やっぱり鈍色です。
でもここでもエンジェルラダーが見られてとてもキレイ。

次の寄港地は沖永良部島の和泊港(入港11:30/出港12:00)。
接岸の向きの関係で島の写真は撮っていなかったけど、ここも気温の体感は徳之島と同じ感じでしたね。

沖永良部島を出港すると、船は島に沿って南下を再開します。
それにしてもこの島は随分と平な島ですね。

だんだん晴れてきまして、体感温度も上がってきました。
入港/出港時に甲板に出てきている人も10人ほどいて、フリースを羽織っただけの薄着の人も。
次の寄港地は与論島です。

与論島の与論港に到着(入港13:40/出港14:10)。
ここで海の色が一気に変わりました。

内地の人がイメージするエメラルドグリーンですね。
天気もそれほど良いわけでもなく、気温も徳之島以来変わっていないようですが、ようやく沖縄に入ったと実感できます。
といってもここまでは鹿児島県です。

そして沖縄本島の本部港に到着(入港16:40/出港17:10)。

天気もすっかり良くなり、1月の沖縄としては貴重な晴れ模様です。
遠くには瀬底島と本当をつなぐ橋が見えますね。
沖縄はダイナミックな橋が多くて、橋マニアにはたまらない場所です。

ここから那覇方面に急ぐ人はバスに乗り継ぐことができます。
また、北部の中心地名護にも近いので、大勢のお客さんが下船していました。

でもここから乗船する親子連れとかもいて、甲板で子供達がはしゃいでいます。
本部港〜那覇港は2等で2190円。
バスと大して変わらないですが、ゆったりできますしね。

そして、その後本島西側を進み、すっかり日の落ちた那覇港に到着(入港19:00)。
気温は日中と変わらないはずですが、夜の雰囲気やまばらな乗客数がそう感じさせるのか、心持ちひんやりした感じです。

那覇港のターミナルビルも、ふた昔前ぐらいの骨董品で、那覇空港の華やかさとは対極に位置します。
ターミナルというより港湾施設ですね。
私はこの雰囲気が気に入ったのですが。

入港/出港時に甲板にでて何してる?

フェリーって結構暇なんんですよね。
wifiも基本的に使えないか微弱。
しかも時間は有り余ります。

そんな中、入出港は一大イベントです。
この航路は途中5つもの港に立ち寄るため、良い気分転換になります。

みんな思い思いに甲板に出てきて、写真を撮ったり、ぼーっとしたり。
今回の乗船では見送りのシーンはなかったです。

でも春になればあるのかもしれませんね。私も長崎の奈良尾港で島外に進学/就職する人たちの見送りシーンに遭遇したけど、感動して応援したくなりました。
あれはいいものです。

私は荷役シーンが好きなので、各港で熱心に見学していました。

大小のコンテナを一生懸命運ぶフォークリフトがけなげなのですよ。
あと、ブロックのようにキレイに積み上げる技も見逃せません。

まさに、島々のライフラインという感じで、頼もしいなあと感じます。
運送会社専用のコンテナもあるようですね。初めて知りました。

こういった私達の知らない生活や仕事を垣間見るのも、旅の楽しみかなあと思います。
いろんなところで、いろんな人が生活してるんだなあって考えると、自分個人の悩みやモヤモヤも軽くなりますしね。

船内の楽しみ

基本この航路は貨物/生活路線なので、クルーズ船のような楽しみはありません。
小さなパブリックスペースにソファーが少々とテレビがあります。

あと、レストランがありますが、食事を提供している時間以外は開放されていて、テーブルもあるのでちょっとした作業はしやすいですね。

レストランと売店の営業は決まった時間だけなので、ずっと開いているわけではありません。
とはいえ、時間は有り余るのでそれで困ることはありませんでしたね。

私の乗船したクイーンコーラルプラスには展望浴室がありました。
が、これは普通の人が想像する展望浴室とはいえないかなあ。
たしかに窓は一個あるけど、「展望」的な開放感はないですね。
どちらかというとドラーバールームの浴室って感じです。

あと、湯船にお湯を入れるのはセルフサービスなので、お湯が満たされるまでに時間がかかります。
家庭用の浴槽のサイズとは全然違いますので。
シャンプーやボディーソープの類いも一切なし。
私はシャワーだけあれば十分なので問題なしでしたが。

でもこういうのも旅の味だなあと楽しめるのは、私が船好きである程度慣れているからかもしれません。

船内での食事

フェリーのレストランって陸上より高いのですよね。
私はそれは仕方のないことだと思うし、気にせずお金を使う方です。

でもマリックスラインのレストランはとても平凡な価格設定です。
陸上と同等の価格で食事を提供してくれます。

上の写真はランチメニューの写真ですが、夕食もメニューは増えますが基本的に同じ価格帯です。
朝食は和洋とも600円。リーズナブルですね。

あと、特徴的なのが提供時間がめっちゃ早いこと。
船のコックさんは早く作るのも技量のうちなのですしね。
下の写真のチキン南蛮は注文後30秒で出てきました。

で、南蛮のタレはセルフでかける。
こういう学食的なスピード感は好きです。
味は学食ぽいです。私は好き。

レストランだけでも十分なんだけど、売店ではおにぎりやお弁当も販売しています。
至れり尽くせりですよね。
私も出港時の夕食は食欲がなかったのでお弁当を買って夜遅くに食べました。

中身は、ごはん、カリカリ梅、ピンクの漬物、ハンバーグ、シューマイ、卵焼き、唐揚げ、エビフライ、キャベツの千切り、ケチャップ、ゼリー2個。
これで500円。安いよなあ。

ちなみにおにぎりは100円だったと思います。
お弁当は2〜3個、おにぎりは10個ぐらいしかなかったと思います。

暇を持て余すのがよい

以上で鹿児島〜那覇25時間の船旅の紹介は終わりです。
私は「寒いと温かいの境界はどこだ?」が気になってこの航路を利用したのですが、奄美大島では寝ていたので、ちゃんと検証できませんでした。

まあ、それは乗船のきっかけで大したことはなく、25時間良い時間を過ごせたなあというほうが収穫でした。
現地での滞在時間をちょっとでも増やしたいあまり、飛行機や新幹線を選ぶことも結構あったので。

でも、スピードのある乗り物ほど、せわしなくて旅情に乏しく、乗客も限られた時間を効率的に使わなくっちゃという雰囲気に満ちている気がします。
仕事なら時間と効率重視は最重要事項ですが、私が旅で大切にしたいことは正反対です。
そんなことを改めて感じるにはちょうどよい25時間でした。