ちびたび in 神栖:スーパーロング公園、和田山緑地の探索

google mapで神栖市内の公園を調べていて、目に留まった長細い緑地帯。
地図で変なものを見つけるのが好きな私、気になって探索してきました。

和田山緑地とは?

神栖市は広大で設備の整った公園が多くあるのですが、ここは単なる緑地帯のようで地味な存在です。
場所は神栖市の中心街である国道124号線から600m程しか離れていないものの、神栖中央公園、港公園、神之池緑地公園など、設備の整った公園に囲まれているためかマイナーな存在です。

工場好き必見!鹿島港の眺望が素晴らしい港公園の記事:
ちびたび in 神栖:鹿島港でのんびり休日〜その1. 港公園

google mapの航空写真で見る限り、住宅エリアと工場エリアを分断するように緑地帯が伸びています。

その距離およそ2km。このスケールの公園は北海道以外では珍しいです。

道外の感覚で散歩すると遭難しかねない公園の記事:
すむたび in 札幌:公園めぐり〜野幌森林公園

まあよく探せば都内、しかも23区内にも長さ2kmレベルの公園はあります。
それでもこんな珍しい形の公園は目を引くもので、どんな場所なのか気になって探索してみました。

端から端まで自転車で移動してみます

南端入り口

探索日は7月初め。
神栖なら自宅から自転車で来れなくもないけれど、天気も荒れ気味のため車で自転車を輸送。
神栖中央公園の駐車場に止めて、そこから自転車で和田山緑地の南端を目指します(約500m)。

ちなみに、和田山緑地内にも3カ所駐車場がありますが、それは後述。

というわけで到着したのが和田山緑地の南端です。

正面に見えるのが緑地の南端で、右下から左真ん中方向に伸びている道路(県道239号)沿いに、緑地は伸びています。

正面奥に向かう道路は、工場エリア・港公園方面への道路で、私も車で何度かきたことはあります。

さて、この交差点を向こう側へ渡るわけですが、信号がちょっとややこしいです。
信号が変わる順序は以下の通りですが:

  1. 県道239号
  2. 工場エリア(正面)からの道路
  3. 住宅エリア(左下)からの道路

歩行者用信号がなく、3の自動車用信号がやたら見辛い角度なので、「歩行者の存在を想定していない工場地帯にありがちな」交差点です。

そんな感じで緑地の入り口に到着です。

申し訳程度の遊具要素と言いますか、バスケのゴールが設置されています。
後にも先にも遊具っぽいのはこれだけで、後は面白みのない遊歩道が続くことになります。

一気に南北縦断

ここからは↓のような遊歩道を駆け抜けて一気に北端を目指します。

と思ったら、いきなり工事中で、迂回を余儀なくされることに。

メインの遊歩道に並行して、小径もあるのですが、未舗装なので自転車はもちろん、ジョギングとかにもちょっと辛そうです。

迂回エリアは300mほどで終了し、再び舗装路に戻り、単調な景色の中を進みます。
文字通り緑地帯で、公園を名乗らなかった理由がわかる気がします。

ほぼ中間地点で黄色いコンテナを発見。
どうやらグランドゴルフ場関連の倉庫のようです。

それ以外は特筆すべきものはなく、鬱蒼とした樹々の間を走り抜けます。
そしてふと気付いたのですが、半分(1km)ほど進んだのに、誰ともすれ違わないのです。

すぐそばの県道は4車線で車通りも多いのですが、緑地内はシーンとして別世界。
ちょっとしたディストピア感があります。

そんな感じでさらに進んでいると、近くで汽笛の音。
少し探してみて、樹木の切れ間からコンテナの山がみえ、ちょうどディーゼル機関車が機回しをしている最中でした。

ここは鹿島臨海鉄道の神栖駅です。
貨物だけの駅なので、旅客扱いはしておらず関係者以外は立ち入ることはできません。
でも、裏からとはいえ 駅の中を窺うことができて、単調な景色におけるスパイス的存在です。

北端に到着

神栖駅の裏を過ぎると再び単調な遊歩道が続き、あっけなく遊歩道の終点になります。
ちなみに、ここでこの日最初で最後のすれ違い者であるおじさんジョガーとすれ違い、挨拶しました。

この先も緑地は続いているものの、遊歩道はなく、お散歩お断りな雰囲気むんむんでした。

緑地自体はもう少し続いているので、県道沿いに北端まで進みましょう。
遊歩道から県道に出て、下の写真の手前の方へ進みます。

といっても終点はすぐそこに見えています。
下の写真の中央のあたりで緑が途切れていますが、あそこが和田山緑地の北端です。

そして、こちらがその北端の全貌です。

鉄板に囲まれて、中の様子は窺い知ることのできない、ワイルドな切れっ端です。
なんの愛想もない風景ですが、自分の中で謎だった場所の景色を実際に確かめることができて納得です。

なぜスーパーロング緑地ができたのか?

地図を眺めていただけでは、この理由は想像もつきませんでした。
実際に来てみても、たいしてアミューズメント性もない、「緑植えましたよ」的な素っ気無い緑地なので、その存在意義はいったい?というのが第一印象。

でも、緑地の北端から来た方向を振り返って、なんとなく理由が分かった気がしました。

多分、送電線がメインで、その下を緑地として整備したのでしょう。

園内は送電線の鉄塔だらけで、3ラインが並行して設置されています。

送電線の真下の土地のことを「高圧線下地」と呼びますが、電圧によっては高圧線下地への建築は認められていません。
また、高圧線下地から一定の距離を開けなければ建築が認められないケースもあります。

となると、このような場所は人が恒常的に滞在しない場所、すなわち緑地や倉庫、駐車場として使用するしかないのです。
和田山緑地もこれが理由で誕生したのではないでしょうか。

駐車場、トイレ、コンビニ

潔いほど緑地しかない和田山緑地ですが、最低限の施設として駐車場とトイレだけは整備されています。

駐車場は車社会だから当然として、トイレが3つのうち2つが清潔だったのは意外でした。
こんな利用客が見込め無さそうな公園なのに。。。
さすが金持ちな神栖市だなあ、と感心しました。

神栖市は財政力指数が全国14位の1.32。
つまり、1.0以上なので国から交付金を貰わずとも自前でやっていける裕福な自治体。
ちなみに、財政力指数が高い自治体には原発関連施設があることが多い。

駐車場、トイレ、コンビニの場所は↓の通り、良いバランスで配置されています。

駐車場は3カ所あって、いずれも10台以上駐車可能。
ただ、並行する県道239号線に中央分離帯があるので、北→南方向の車線からしか出入りできません。

トイレも3カ所あるのですが、1カ所だけなぜか簡易トイレ。
それ以外は清潔なトイレです。

トイレ①

トイレ②

トイレ③

コンビニは緑地の中間地点付近にセブンイレブンがあります。
ただ、緑地からの出入口がずれているので、近道したければ草地をかき分けて県道に出るしか無さそう。

ただ、食糧調達は可能なものの、緑地内にベンチはほとんど無いので、食べるときに困りそうです。
ここはウォーキングやジョギングを向けの場所ですね。

アクセス

アクセスは神栖警察署や神栖中央公園から車で1分ですが、先に述べた通り、緑地ぞいの県道から駐車場への進入は「北→南方向」のみなので、ぐるっと迂回する必要がありそうです。

徒歩や自転車ならその点は気にしなくて良いですが、南端に向かう場合、最初に述べた歩行者と自転車に優しくない交差点を渡る必要があります。

そのような理由で、気持ち的にちょっと距離を感じる立地です。
でも送電線マニアならわざわざ訪れる価値のある場所かもしれません。